灸箱 江戸時代 37.0×20.0×20.0cm
江戸時代に、松本藩(長野県)の殿様が使用していたお灸の道具箱です。お灸は、庶民が行っていただけでなく、大名の間にまで広く普及・浸透していました。病気の予防や普段の養生を目的に自宅でする、今でいうところのセルフケアのような側面も担っていました。
いちばん上には灸点を付けるための小さな硯と筆、その下の引出しには艾(もぐさ)、中の空間には火種や燃え屑などを入れたと思われる陶器、下の引出しには線香が入れてあります。
「殿様が使ったものにしては、実に質素で飾りけがない。藩主自ら質実の模範を垂れたものかと思われて、興味深い」と評した方がいるほど、シンプルに作られています。
(ここ+から編集委員会(森ノ宮医療学園専門学校内)発行
「ここ+から」2015年Vol.7:7頁より)