『ニュースの数字をどう読むか-統計にだまされないための22章』
トム&デイヴィッド・チヴァース(北澤京子 訳)
(ちくま新書(筑摩書房))
ニュースや新聞で示されるデータやその解釈は必ずしも正確ではなく、「誇張したり、都合よくいいとこ取り(チェリーピッキング)したり」(本書より)する場合があます。報道機関は「エキサイティングで、面白く、ショッキングな報道」(本書より)をする傾向があり、そのことを理解していなければ私たちも間違った判断をしてしまう恐れがあります(というか、してきたと思います)。本書は新型コロナウイルス感染など最近の新しい報道から不適切なデータ提示や解釈の例を挙げて、より冷静で正しい判断をするためのヒントを与えてくれています。
私たちが日々目にする報道の内容から、サンプルの偏り、p値ハッキング、交絡因子、出版バイアスなど、注意すべき点についてわかりやすく説明されているので、ヘルスリテラシーを身につけるためには手ごろな一般向け解説書です。
少し日本の読者にとって理解しにくいイギリスの社会事情や、イギリス人特有と思われるジョーク、そして回りくどい比喩もありますが、そこは読み飛ばしてもポイントは十分に理解できると思います。もちろん一般の人にとって役立つ本ですが、論文を読む人、書く人、そして誰よりも医学情報・健康情報を発信してきたメディアの記者やライターに読んでいただきたいものです。
(献本いただきました。解説はお世辞なしです。)

- ニュースの数字をどう読むか-統計にだまされないための22章(筑摩書房、2022)