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MUMSAIC’s Opinion

それぞれの研究デザインにそれぞれの役割と意義がある

 日本臨床鍼灸懇話会をはじめとする日本の鍼灸臨床系学術団体が誇る大きな成果は、症例分析による群内比較データでした。その典型はカルテの集計による症例集積であり、病態別に鍼灸の適応と限界を推測することに寄与しました。これは鍼灸臨床家が牽引したからこそ成し得た成果であり特徴でありました。
 
 一方、欧米の鍼灸研究者たちが推進したのは、群間比較データの提示でした。その典型がランダム化比較試験(RCT)であり、無治療、他の治療法、あるいはプラセボよりも効くのかといった問いに対する答を見つけることに寄与してきました。これは鍼灸以外にも多くの治療選択肢をもつ医師が主導したからこそ辿った検証作業であると思われます。
 
 今日の日本の鍼灸界においてはRCTも知られるようになりましたが、理解不足のまま不完全に実施されることが多いように見受けられます。一症例報告や症例集積については位置づけと使い道を見失っている鍼灸師がいるのではないでしょうか。それぞれの研究デザインにそれぞれの役割と意義があり、症例の詳細な分析作業は臨床鍼灸学にとって相変わらず重要なのですが、EBMの消化不良によって今まで地道に行ってきた日本の鍼灸臨床データ集積活動が混乱しているような気がしてなりません。
 
 一症例報告や症例集積のもつ役割と意義を十分に理解したうえで行われた良質の鍼灸分析研究は、それぞれの研究デザインで出せる答の範囲を間違えなければ、今後も鍼灸界だけでなく人々の健康の回復と増進に役に立てると信じています。
 
(第53回日本臨床鍼灸懇話会全国集会予稿集における山下の抄録より(一部加筆修正))
 
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