• MUMSAICについて
  • 鍼灸学術情報
  • 代田文誌カルテ
  • はりきゅうWebミュージアム
Morinomiya University of Medical Sciences Acupuncture Information Center

鍼灸学術情報

鍼のRCTにおける偽鍼(sham needling)の効果:刺入する偽鍼のほうが効果が大きい

MacPhersonら[1]は、Vickersら[2]と実施した慢性疼痛に対する鍼治療のメタアナリシスの二次解析を行いました。対象となった慢性疼痛は頭痛、変形性関節症、腰痛、頚部痛、肩痛によるもので、ランダム化比較試験(RCT)のデータです。対照群を、鍼でない偽治療、皮膚を貫通する偽鍼、皮膚を貫通しない偽鍼などに分類して、それぞれと比較した時の鍼治療群の効果量(effect size)をmeta-regressionによって推定したのです。
 
その結果(極端に鍼がよく効いているとする論文のデータを外した場合でも)、鍼治療のeffect sizeは、皮膚を貫通する偽鍼群と比較した場合は0.17(95%CI:0.11~0.23)、皮膚を貫通しない偽鍼群と比較した場合は0.43(95%CI:0.01~0.85)でした。皮膚を貫通する偽鍼群と比較したRCTにおいて鍼治療のeffect sizeが小さくなるということは、つまりこのタイプの偽鍼それ自体の治療効果が大きいということです。
 
すでに説明してきたように(http://mumsaic.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1409866439)、偽鍼を対照群として本物の鍼の効果を検証しようとするRCTについては、偽鍼がプラセボ錠のような不活性な対照群ではないということに注意が必要です。そしてさらにここで示したように、偽鍼によっても効果の大きさが違うのです。MacPhersonら[1]は、鍼治療のRCTにおいて皮膚を貫通するタイプの偽鍼を使用するべきではないと結論しています。
 
1. MacPherson H, Vertosick E, Lewith G, Linde K, Sherman KJ, Witt CM, et al. Influence of control group on effect size in trials of acupuncture for chronic pain: a secondary analysis of an individual patient data meta-analysis. PLoS ONE 2014; 9(4): e93739. doi:10.1371/journal.pone.0093739
2. Vickers AJ, Cronin AM, Maschino AC, Lewith G, MacPherson H, Foster NE, et al for the Acupuncture Trialists’ Collaboration. Acupuncture for chronic pain. Arch Intern Med. 2012; 172(19): 1444-1453.